思考停止とコミュニケーションの密接な関係
一見これは「老害」のように映る。加齢による劣化ではないのか?
果たしてそうだろうか。こうした経験は枚挙にいとまがないが、
ある種、人間の本能として「理解できないことは拒絶する」がある。
難解だ、と思った時点で心を閉じ、思考を停止する。
あくまで、高齢者に多くみられるが、実は年齢によってくくれるものでもない。
いくつかの例の中からもっとも最近面白かったと思ったもの。
松倉川の遊歩道を歩いていたら、進行方向にカルガモがたたずんでいた。
水上ではない。遊歩道上。
よく見えると「そっちにいるんだよ!」と訴えている。
このぐらいのメッセージは自分にもわかる。
そっちに誰が? パートナー? あんたは♀で旦那?
すると茂みの中から小ぶりなカルガモが後から後から出てきた。
全部で7羽。親が子ガモに食事をさせていて、それを監視していたのであった。
早朝、人通りの少ない松倉川の遊歩道。夏休みなので通学の自転車も通らない。
ほのぼのしている。
そこへひと組のご夫妻が散歩で通りかかった。
年の頃は70過ぎ、だろうか。
「ちゃんと親が心配して見張っているんだねえ」
と感心しきり。
そこまでは何のことはない。
さて、なぜ自分がここにいたのかというと、最近このあたりに
クロツグミが登場するからだ。カルガモ話に花が咲いているまさにそのとき、
近くでオスが鳴いて、河畔林にもぐりこんだ。
「あの、いまきれいな声で鳴いているのがクロツグミですよ」
ご夫婦はどうせ鳥には詳しくなかろうと思い、レクチャーしてみた。
すると、反応。
「クロツグミって知らないです」とご主人。
知ってるよ。
あなたがクロツグミを知らないこと。
いま、鳴いているのがそういう名前の鳥なんですよ、きれいな声でしょ。
それだけの話です。
でもたいがいの函館市民は「鳥には詳しくない」という。
いやいや。
説明しているのはこっちだ。拒絶するということはこちらが嘘つきだと
疑っているのか?
実に未知のことを受け止められない大人が多い。
知らないのは悪いことではない。
知ればいい。
へえ松倉川にクロツグミ(っていう鳥)がいるんだ…それだけだ。
余裕があればネットで調べる。
(検索してみると、けっこうびっくり)
そうそう思い出した。
根崎のラグビーグラウンドである。
↑巣離れしたばかりのウミネコ幼鳥はけっこう黒い。早く河口デビューしな!
ここにウミネコ親子が来ている。
河口で「デビュー」しないで芝生の上でなんだかくつろいでいる。
あのさ、夏休みだからもうすぐラグビー合宿が始まるよ。
そこに犬の散歩のご婦人が通りかかる。
グラウンドの鳥を見ている。
「あれね、ちょっと前にデビューしたウミネコの幼鳥ですよ」
へえ、と驚く。
無理もない。カモメの類とは思えないほど黒い。
ウミネコ、成長するにしたがって白くなりカモメ配色になる。
目の前に起こる自然の事象。
最初は知らない。
興味がない、とシャットアウトすることも可能。
これ豪雨災害がくるかもしれない、大地震が起こるかもしれない、
でも興味がない、のと似ている。
とりあえず知ってみる。それでいいはずだ。
何かが変わる。
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