乗り鉄さんは何を目指す?
「鉄ちゃんですか」と言われることに多大なる抵抗があるし、自分は「鉄」を名乗るつもりはまったくない。
強いて言うなら「移動マニア」というのが正しいか。
ただただ「(乗り物でどこかに)行ってみる」のが好き、と言ったところ。
2015年11月の増毛で感じたのと同じことを今回、「新十津川」でも「夕張」でも感じた。
純「乗り鉄」を名乗る連中は、鉄道そのものに愛はないし、当然自分が着いた場所にも
愛はない。事前にダイヤを調べて来るに違いないはずなのに、とてもルーズな行動が目立つ。
あたかも「乗車券を持っているからお客さんでしょう」という態度にすら見える。
百歩譲れば「乗車中のガタゴトの車内音と、流れる車窓こそが至福」ということなのかもしれない。
とても驚いたのが新十津川駅のこの光景。御存知のように札沼線・浦臼~新十津川間は1日1往復。
午前9時28分着のキハ40は午前10時ちょうどに折り返す。
終着駅が賑わうのはわずかに32分。それでも18年3月のダイヤ改正で少し長くなったくらいだ。
なのに折り返しの終発列車に乗車しようと並ぶ。一刻でも早く新十津川を去りたいとしか思えない。
↑月形町からの「大人の遠足」メンバーの影響が大きいかもしれないけど、そればかりではないようだ。
写真を撮る立場からいえば、わずか1日32分間の喧噪?とすぐに訪れる残り23時間28分の静寂
とのギャップこそ興味深いのだが…。
残念ながら新十津川そのものはすでにその状況に慣れていた。
1日1回のキハ40の到着(出発)は割り切ったイベントと化していた。
↑数人の園児たちが出迎えてくれ、メッセージカードをくれる
寂しさはあまりない。
徒歩5分の町役場からとなりの滝川へけっこうな本数バスが出ている。
だから滝川から人気のない新十津川駅を撮影に来ることも容易である。
これは行かねばわからない。
この日の新十津川行きには沿線の月形町の町長さんが「乗車イベント」の同行者として
乗っていて、新十津川・浦臼は滝川とつながっており、月形は岩見沢へバス路線があるが、
料金も高いし、札幌に出るには不便、と話してくれた。
つまり終着・新十津川がいち早く存続を断念しており、沿線自治体の足並みは揃うはずもない、
のである。
さて、新十津川駅からバスに乗るために、町役場へと歩く。
新十津川行きに乗ってきた数人は「帰りはバス」のはずだが、
どうも人の流れが乏しい。9時52分、56分と2本滝川行きがあるはずだが…経由地が違い
どうやらバス停が別々のようだ。乗り鉄さんたちはこうした状況判断も甘いようだ。
コンビニ前のバス停に3人ほど待っていたが、バスの気配がせず、注意深く見やると、
役場の駐車場の中に先発バスがすでに待機していた。
たかが数分の違いだが、トイレ時間も含め、旅先で時間を作ることは鉄則ではないだろうか。
ま、もう何度も来ているなら別ではあるけれど。
夕張の話はまた後日。
今回のキタの夏タビ、JR北・完乗編で最後に残ったのは「室蘭本線・岩見沢~苫小牧」か
「根室本線・滝川~富良野」の選択。でも、どうせ「東鹿越~新得」の代替バスを
経験するなら、函館からより遠い後者を片付けておこうということになった。
セッション2の初日(札幌泊の日)に、札幌~滝川~富良野を往復4時間かけて消化。
続けてセッション2の3日目(前泊帯広)で帯広~新得~東鹿越~富良野~(美瑛)~旭川と
乗ることにした。
JR北の路線で国道と並行しておらず、なおかつ峠越えの路線はここだけではないが、
降雨確率100%、視界不良であっても狩勝峠のスケールは半端ではなかった。
根室本線の歴史をひもとくと、先人たちのここまでの苦悩がしのばれる。
地図上は根室本線が寸断された状態が復活することはなさそうだが、
札幌~帯広・釧路を結ぶにあたり、寸断区間は悲しくも不要であり、
根室本線は過去のもの、なのだろう。最低限「石勝本線」があれば機能するのである。
通過区間であったはずの東鹿越~新得間は北海道の単なる最深部のひとつになってしまった
ように感じた。
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