泊まれないならいかんともしがたく…
さて、前回の記事「北海道の観光的魅力と入込数推計PART2」までで、
「達成できている」「ほぼ達成できている」「まだまだ足りない」の
評価がしにくかったので、今回の一連の記事の核心へ。
どうもお役所的には「まだまだ足りない」「要努力」ではダメみたいですよ…。
さて、何もないところにいかに「価値」を創出するか。
まあ、並大抵なことではありませんが、さまざまな価値観があるわけですから、
その多様性に着目して少しでも地域の魅力を伸ばしていくことが大切かと。
核心ともいえる新幹線効果について、考えます。
まず一点め。木古内町が新幹線停車駅と道の駅効果で注目度が上がったこと。
入込数で前年の4倍。道南では八雲町、道東の羅臼町、道北の拠点・稚内市を
上回る数字になりました。
ただし、いかんせん宿泊施設が不足していて、入込数が増加した分は
ほぼすべて日帰客に相当する結果となりました。
年間宿泊客数3500人がほぼ3倍の1万6百人となりましたが、
函館市の300分の1以下です。
そして外国人宿泊数が前年に引き続きゼロ。外国人宿泊数ゼロは全道に34自治体
あり、そのうちのひとつです。福島町・知内町・長万部町も外国人宿泊数がゼロ。
道南では外国人の宿泊数・年間1~100人の自治体は今金町、松前町、
奥尻町、乙部町、厚沢部町、上ノ国町、北斗市。
森町、鹿部町では年間宿泊者数が
1万人を超えていますから、団体客の呼び込み次第では年間1万という数字は
さほど重いものではないようです。とはいえ鹿部町の数字を見てみると、
道の駅効果で入込数が2倍以上に伸びたにもかかわらず、外国人宿泊数は
これとまったく関連性がなく前年比38%減となっています。
事の本質がそこにないことがわかります。
それは鹿部町の内訳が中国人8割だったから変動が大きいのでしょう。
森町のほうは中国・台湾あわせて8割。函館市もまだややそれに近いので、
カギを握るのはそれ以外の国の観光客人気でしょう。
多様化によるリスクヘッジ。
ちなみに北海道全体では中国・台湾の両国で全体の5割。
二点めは北斗市の件。
新函館北斗駅前にホテルが開業したのが2017年3月ですから、今回の
入込数データには含まれていません。その結果、入込総数は前年比
わずか17%増で全道31位。これは集計ポイントの問題があると
思われます。新函館北斗でいかに途中下車していないか。
ここまで言われ続けていることです。
そして北斗市内には函館江差自動車道のICが4か所ありますが、
道央道と接続する国道5号線・函館新道・新外環は七飯町を通過しています。
さらになかなかショックなのはH28年度の外国人宿泊者数がたったの4人
(前年2人)。
まさに函館で泊まるからいいっしょ、ということです。
宿泊者ベースでの順位は全道68位(前年73位)、外国人宿泊者の順位は
全道144位。下から数えて3番め、です。
わかっていたことですが数字が伸びても函館の100分の1に
届かない宿泊数では大出遅れもいいところでしょう。
もともと何もないところだから、と観光を諦めているわけではないでしょうが、
新幹線の待ち時間に八郎沼やきじひき高原でもタクシーの定額パックでも
企画すればそれなりだと思いますけどね。(でも冬はどうするか…)
宿泊客は黙ってても函館へやってくるという函館側の慢心を招く
結果にもなっていると思います。
ことしの夏から秋にかけてある事情から、函館以外のいくつかの
道南の町で素泊まりのできる宿泊場所をいくつか検討しましたが、
結局決断できませんでした。質、量ともにまだまだという印象です。
乗車率推移から言ってもそこまで期待できない新幹線効果を
函館市だけで受け止めようという方向性にもかなり無理があるようです。
間違いなく冬の北海道観光を支えるのは、インバウンド。
しかも、国別シェアの少ないインドやカナダの観光客に函館は人気。
韓国や香港、ロシアには不人気。
面白いのは全道統計でこれはわかりますが、函館市の統計では
目立ちませんね。
そんな背景も興味深いですけどね。
確かにカップル向け?に冬のイルミネーション=ロマンチックで攻めるのは
底堅い。でもそれじゃ他との差別化がさっぱり図れない。
函館+小樽+札幌で三都物語。北海道旅行は必ず函館で1泊。
じゃあ、どうすればその1泊が2泊になるでしょう。
北海道旅行ではなく、函館(圏)旅行に変えてもらわないと無理なわけですよ。
なかなかそこまで深まりません。
さてさて、11月からの観光パンフ。
何月にはどこで何、とどれだけ明確に主張できているか、予算の使いみちは
市民としてもしっかり確認する必要があるでしょうね(笑)
というわけで、次回以降の展開、函館は北海道ではない?に
帰着できたような…。
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