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2017年10月30日 (月)

北海道の観光的魅力と入込数推計PART2

地域ブランドの魅力と、現実の観光客入込のギャップ。

もちろん夕張メロンや根室のさんまが市場で有名だ、でも観光には

行かない。それも否定しません。

もうひとつの問題はこの入込数の計算方法にはからくりがあると

いうことです。

全道179市町村の観光客入込数データには、また別のフィルターを

かけて分析しないといけません。

まず、わが函館市の順位。

過去最高の年間560万人を突破した入込総数は全道3位。

(1位は札幌市、2位は小樽市)

H28年度は「度重なる台風の影響」等で数字を落としている自治体が多い中、

TOP30で10%の伸長を見せているのは新幹線効果が顕著だった函館市のほか、

占冠村と室蘭市だけ。

入込数のうちの宿泊客数。これは前年同様、全道2位。前年比で14%増で

364万人。入込数に対しての宿泊数、ここがポイント。

日帰客/宿泊数の数値ですね。

宿泊客数TOP30の中で10%以上の伸長は函館市と帯広市、積丹町、七飯町。

続いて外国人宿泊数。

函館市はこの部門全道3位。40万4000人。前年比+1.9%。

1位はもちろん札幌市で209万人と桁違い。2位は登別市で47万人。

外国人宿泊数では洞爺湖町が全道4位で26万6千人。

函館から洞爺湖・登別の温泉を経由して札幌(もしくはその逆)という

ルートが目に浮かびます。

この角度でだけ見ておけば、入込数…だいたいこんな感じなのですが、

ここからがデータを読み取る上でのいくつかの問題点。

観光と宿泊の関連性。ここが重要です。

広い北海道は日帰り前提ではカバー不可能です。

1泊2日でもタイトなスケジュールになるケースが多く、そうした日程でも

多くのスポットは回れません。

ところが入込数順位と宿泊数順位に大きな差がある自治体があります。

後志管内の喜茂別町です。入込数全道9位(前年同)。

ただし、宿泊者数順位は173位タイで宿泊者ゼロ

つまり中山峠を通過する人数に一定の係数をかけて観光客入込として、

算出しているのです。道の駅に立ち寄ってトイレ休憩もある意味観光。

その数年間255万人。函館市の半分弱。喜茂別町にとってそれが100%

なわけです。問題は横の比較をするときにフェアじゃなくなる。

つまり七飯町のように「道の駅を建設する」のは、いまや観光振興に

なくてはならない要素と化しているわけです。

それだけクルマ社会になっているとも言えますが、この部分は見事に

JRの不採算路線問題と背反していきます。

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↑集客は順調な木古内町の道の駅

ちなみに新幹線効果も加味して道の駅の集客が好調だった木古内町の

入込数は前年の4倍にあたる62万6千人で伸長率全道1位。

順位的には前年の132位から57位へと大ジャンプアップ。

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↑2016年に開業した鹿部町の道の駅

同じく道の駅新設の鹿部町は新幹線効果絶大とは思えませんが、

入込数48万人で前年の2.2倍。順位は112位から68位へとジャンプアップ。

ただし、木古内町は宿泊者順位では123位(前年163位)、

鹿部町は61位(前年58位)。後者のほうは通過が立ち寄りに変化しただけで、

「行ってみたい」魅力が増したかといえばそうとも言えません。

基本的に北海道は広いので、移動距離を伸ばせば宿泊場所を確保しなければ、

なりません。データでそれを明確に示すのは、観光入込数の順位に対して、

宿泊客数の高い自治体。たとえば、

釧路市(6位/3位)、帯広市(10位/5位)、北見市(25位/8位)、

富良野市(16位/12位)、斜里町(35位/13位)、音更町(27位/14位)、

稚内市(62位/18位)、岩内町(75位/33位)…(入込数順位/宿泊客順位)

などです。北海道の地理的な特質がよくわかります。

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↑JR釧路駅。阿寒湖に泊まる場合も釧路市にカウントされます。

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↑知床五湖(一湖)。知床へ日帰観光できる人は限定的(斜里町)

この逆の傾向が出ている自治体は、「道の駅やPAで稼いだ」ことが

より明らかになる統計データだと思います。

例:旭川市(4位/11位)、千歳市(5位/21位)、石狩市(12位/57位)、

七飯町(13位/30位)、苫小牧市(14位/29位)、白老町(18位/35位)、

余市町(29位/83位)、恵庭市(30位/154位)、江別市(39位/164位)、

…(入込数順位/宿泊客順位)

つまりは自然環境や歴史的背景でなく、あらゆる人的工夫を観光要素に

盛り込もうという昨今の風潮です。頭から否定するものでもありませんが、

そうして残った数字を「成果」として単純に胸を張ることには抵抗が

ありますが、どうでしょうか。


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