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2017年8月 4日 (金)

五度目の挑戦にも失敗した件について

2019年の登録を目指す、世界文化遺産候補への推薦が

「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府)に決まりました。

「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」はまたしても

推薦を逃しました。5回目の挑戦だったそうです。

少し前に「函館に世界遺産は要らない???」と記事を書きましたが、

誤解のないように真意をもう少し詳しく説明しておくと、

構成資産である17遺跡のある千歳市・伊達市・洞爺湖町・青森市・弘前市・八戸市・

七戸町・つがる市・外ヶ浜町・一戸町・鹿角市・北秋田市と比べて、

観光資源的な見地から切迫感がないのでは?という意味合いです。

もちろんあるに越したことはない。

でもそんな中途半端ではダメなんですね。

文化審議会からは常にその「普遍的価値」を問われているようですが、

この17遺跡で過不足ないのか、ということになります。

いやはや、この部分はどうにも。

今回の審議で新潟県の「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」共々

3か所の中で相対的に準備が整っていると見て、

「百舌鳥・古市古墳群」に決定と報道されました。

「各国の文化遺産推薦枠は1年に1つなので有効に使いたい」

という審議会側の意図もあるようです。

決定後の北海道・北東北の首長コメントの中には

「より一層の地元としての機運の醸成」を挙げた人もいたと記憶しています。

機運の醸成が事態を解決するのか…

わかりません。

ただ、そこを取り上げるなら少なくとも、函館市南茅部地区の

大船・垣ノ島の両遺跡はまだまだ胸を張って送り出せる状況にないでしょう。

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↑海岸段丘の上にあって見晴らしはいいです、大船遺跡


自分が初めて大船遺跡を知ったのは一昨年購入した

ミシュラングリーンガイドジャポンの中で。

そのときはは大船→おおふな?と読み間違えてたぐらいですからね。

物は試しと実際に行ってみたのは、翌年の秋。

鹿部の間歇泉公園へ行ったついで。

その時点で縄文文化交流センターはけっこう場所が離れていていること、

その交流センターの付近がどうやら垣ノ島らしいことを初めて知りました。

で、出直して交流センターにも行きました。

160928jomoncenter

160928kakku000

交流センターの展示物の目玉はもちろん北海道唯一の国宝である

中空土偶の「カックウ=茅空」。

でもカックウが発掘されたのは著保内野(ちょぼないの)遺跡なんですね。

数々の展示物を見ていくと、まあ遺跡の名前が多様でびっくり。

南茅部って遺跡だらけ???

そこで受付のお姉さんに聞いたんですよ。

「それぞれの遺跡の分布地図は展示しないの?」

すると返ってきた答えは

「おっしゃる通りですが、いろいろ問題がありまして…」

つまり遺跡としての保存が進んでいるのはごく限定的で、

埋め戻してしまった場所も多いのだとか。管理面の問題もあるような

ニュアンスでした。

そもそも道路工事(国道278号バイパス)等々で、発見された

経緯があるわけです。

手元のはこだて検定の公式テキストによれば、

南茅部地区だけで、すでに国の史跡に指定されている

大船・垣ノ島以外に、カックウの出身地・著保内野、八木B、

臼尻B、臼尻C、ハマナス野などが地図に載っていました。

南茅部地区以外にも函館空港の滑走路延長工事で見つかった

中野A、中野B遺跡も縄文時代の遺跡です。

ほかにもたくさんの遺跡が存在していて

もう函館周辺の遺跡をインプットするだけでかなり大変な

ことがわかりました。

まあ、ほぼすべてが意図せず発見されてしまった

ということになります。

遺跡保存のためにはそれなりの手間も必要で、

その価値を検討した結果、2遺跡が国の史跡指定を経て、

世界文化遺産候補の構成資産になったというわけですね。

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↑垣ノ島遺跡から出土した足型付土板。1歳前後の子どもの足型のようです。

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↑南茅部周辺の遺跡からの出土品

いずれにせよ、万人がその価値を理解し、世界文化遺産への

登録機運を高めるのは生易しいことではありません。

あらゆる利害が絡みます。

先日、文化審議会の結論に先駆けて、NHK北海道が

北海道ヒストリー・北の縄文として、

キウス周堤墓群(千歳市)、北黄金貝塚(伊達市)、入江・高砂貝塚(洞爺湖町)

の3遺跡を含む北海道5遺跡の5分程度の紹介番組をオンエアしていました。

縄文人が1万年以上の長きにわたって、自然環境と融合し平和な生活を送っていたことに

価値がある、と説明されていましたね。

現実として暫定リストに掲載されているわけですから、正直なところ

次回こそはぜひ、と思いますが、

まだまだキャンペーンも不足ということでしょう。

関わる自治体が4道県13と多いので何とかなるという問題でもなかったわけです。

残るライバルは佐渡。

きっと石見銀山が行けたんだから、佐渡が行けないわけがないと

向こうは思っていることでしょう(笑)。

大阪の仁徳天皇稜と比較すると縄文遺跡は

ビジュアル映えしないだけに、これからも

なかなかの苦難の道のように思えますが、

ここまで来たら降りられません。

最後までやり遂げるしかないですね。


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